少なくとも太平洋戦争が終結する数年間、この著者の生活はじつにぐうたらなものでした。というのも、その生活というものは原稿がなかなか書けず、ただただ酒を飲みつくすだけの毎日だったのです。ところでそんなぐうたらな彼は、自身の芸術観とこの戦争にある類似性を見出している様子。それは一体どういうところにそれを見ているのでしょうか。
この作品では、〈著者の芸術家としての葛藤〉が描かれています。
そもそも彼の芸術観というのは、「芸術の世界は自ら の内部に於て常に戦ひ、そして、戦ふ以上に、むしろ殉ずる世界」と、非常に戦争と似通ったところがあります。つまり彼は内面では芸術家としての苦悩を抱き、悶々と戦っているのです。ですが、なかなか自身が到達したいところになかなか到達できず、鷹に食われ、糞として落とされ、生まれ変わりまた同じところを目指しているのです。この悪循環のため、彼は、表面上はぐうたらするしかなく、自身の内面と現実の現象のギャップに苦悩しているのです。
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