2010年11月7日日曜日

愛と美について―太宰治

 この作品は、著者の兄弟のある一日のやり取りを切り抜いたような作品になっています。彼らはある曇天の日曜日。それぞれ退屈していた兄弟達は、家のならわしに従って皆で物語の連想をはじめます。
 この作品では、言うまでもなく〈日常の仲睦まじい兄弟の姿〉描かれています。彼らは、それぞれの性格があらわれた語りで、物語を展開していくのですが、それぞれに不味い部分があったとしてもそれを互いに尊重し、ときには互いにそれを生かそうともしています。その姿は、読者である私達には微笑ましく見えることでしょう。だからこそ、物語の最後に登場する母の姿に私たちは共感し、共に笑う事ができるのです。

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