ある大変遠くの森の中に、巨男とその母親の恐ろしい魔女が住んでいました。ある月夜のこと、そんな彼らの家に二人の女と一人の少女がやってきました。彼 女たちは王女とその侍女で、森に遊びに来たところ迷ってしまったので、一晩泊めて欲しいというのです。魔女はやさしく彼女たちを受け入れました。ところ が、巨男が目を覚ますと三人は魔女によって黒と白の三羽の鳥に変えられてしまったのです。やがて彼女たちは何処かへ飛び立っていきましたが、どうしてだか 白い王女様鳥だけが魔女の家に戻ってきました。巨男は不憫に思い、彼女をこっそりと飼ってやることにしました。
そうして時が経ち、魔女もやがて老いていきます。それにつれて彼女自身の魔法を息子に徐々に教えていき、そして白い鳥を不憫に思うやさしい巨男はある時、王女を元に戻す方法を知ることになるのです。果たして王女は元の姿に戻れるでしょうか。
そうして時が経ち、魔女もやがて老いていきます。それにつれて彼女自身の魔法を息子に徐々に教えていき、そして白い鳥を不憫に思うやさしい巨男はある時、王女を元に戻す方法を知ることになるのです。果たして王女は元の姿に戻れるでしょうか。
この作品では、〈巨男と王女のすれ違い〉が描かれています。
まず、巨男は日頃から王女を哀れに思い、どうすれば王女を元に戻せるのかを考えていました。彼は、王女が元の姿に戻ることこそが彼女の幸せなのだと考えていたのです。
そしてある日、彼は死に際の魔女から「その鳥獣が、涙を流せば、もとの姿にかえるよ……」と王女を元に戻す方法を知ることになります。そこから彼の奮闘は始まります。彼は自身がどのような理不尽な目にあおうとも、常に彼女を元の姿に戻すことだけを考え、行動していました。ですが、王女はそのようなことを考えていたでしょうか。彼女は巨男が自身に涙を流すために死んだ際、こう述べています。「私は、いつまでも白鳥でいて、巨男の背中にとまっていたかったわ。」そう、彼女の幸せというものは常に巨男と共にあったのです。決して自分が元に戻るというところにはありませんでした。それにも拘らず、巨男は彼女の幸せは自分が考えているそれと信じ、命まで捧げてしまったのです。そうして王女の幸せは永遠に失くしてしまいました。まさに巨男の思い込みが、すれ違いを生み、このような悲劇的な結末になってしまったのです。
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