2010年12月12日日曜日

虻のおれいー夢野久作

 今年六つになる可愛いお嬢さんのチエ子さんはある時裏の庭で一人遊んでいると、一匹の虻がサイダーの瓶の中でもがいている姿を目にします。苦しそうにしている虻を、彼女はどうにかして助けてあげようと奮闘します。果たして虻は無事瓶から出ることが出来るのでしょうか。
 この作品では、〈情けは人の為ならず〉ということが描かれています。
 結局、チエ子さんはどうにかして虻を助けることが出来ました。虻は彼女にこう言いました。「ありがとう御座います。チエ子さん。このおれいはいつかきっといたします」そしてこの約束は後にちゃんと果たされることになります。
 その数日後、チエ子さんは一人で留守番している時、泥棒が家の中に侵入し、なんと彼女の命を狙おうとします。そこに以前彼女が助けたあの虻が現れ、身を挺してチエ子さんを守り抜きます。そしてその結果、チエ子さんは助かりましたが、虻は泥棒にやられ、その一生を終えてしまいます。ですが、彼は見事彼女への恩をこうして返すことが出来たのです。しかしチエ子さんは自分の為に虻を助けたわけではなく、本心から虻を助けたいと思い、瓶から出してあげたのです。この本心からの行動が虻を感動させ、彼女の為に命を賭したのでしょう。

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