2011年1月24日月曜日

作家の手帖ー太宰治

 この作品では、タイトルにもあるとおり、彼が思いつき手帖に記したことが書いてあります。ですが、個々の話は全く独立したものではなく、著者のある〈連想〉からその繋がりを持っています。
では、この手帖にはどのようなエピソードがあるのか、一度下記に整理してみました。

七夕の話、曲馬団の話、幼少の頃の話、産業戦士の話、その奥さんの話

大まかに分けてこの5つのエピソードがあります。次に、これらのエピソードはどのように繋がっているのかを見ていきましょう。まず彼は冒頭で「七夕の話」について、幼少の頃の疑問について述べています。そしてその幼少の頃の疑問から、その当時のことを思い出し「曲馬団の話」へと移ります。その曲馬団での一件から、当時の著者は一般の人々に素朴な憧れを抱いていました。ですが、月日は流れ、今では著者も一般人の一人だということを思い出から現実にかえった彼は改めて自覚するのです。しかしそこから話を進めて、彼は自身の中に一般人ではないものを見て、「産業戦士」と自分とを比較しはじめます。そしてその話をする中で、彼は自身がある奇妙な発言をしたことを打ち明けます。やがてその奇妙な発言から、「ある産業戦士の奥さんの唄」をそう言えばと語りだします。彼はこの2つの中から同じものを見たからこそ、前者から後者を連想したのです。このように一見おのおののエピソードは独立しているようにも見えますが、実は著者の連想によってそれぞれが繋がりを持っているのです。

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