2011年1月11日火曜日

魚服記ー太宰治

 馬禿山の滝の傍には、いくつかの炭焼き小屋が立っていました。その中でも、他の小屋とは余程離れたところに、スワとその父親の小屋があり、彼女たちはそこで寝起きを共にしていました。彼女たちは滝壺の脇に小さな茶屋を構え2,3の駄菓子を売り、また炭を売りながら生活をしていました。そんな父親との生活の中で、スワは何か一物思うところがあるようです。彼女は一体日々の生活の中に何を感じているのでしょうか。
この作品では、〈孤独とはなにか〉ということが描かれています。
まず、スワは父親の留守中、ふと一方が大蛇になり別れを余儀なくされた三郎と八郎の話を思い出し、孤独感を感じます。そして父親の帰宅後、彼にその思いをぶつけることになるのです。このように彼女は、父親の留守の際、常に寂しさを感じていることがわかります。
そして、そんなスワにもやがて父親との突然の別れが訪れます。ある時、彼女は気がつくとなんと水の底にいたのです。スワは小さな鮒になっていたのです。はじめはその驚きと嬉しさからはしゃいでいましたが、やがて思案し、大好きな父親と永遠の別れを悟るのです。そして耐え切れなくなったスワは、やがて自らの身を滝壺へ投げ入れます。まさに孤独が彼女を殺してしまったのです。

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