2013年11月11日月曜日

ヘレン・ケラーはどう教育されたかー1887年3月28日(修正版)

 今回の手紙でも、ヘレンの内面における劇的な変化が綴られています。
 彼女はこれまでナプキンをまともにつけず、顎に挟んで食事をとっていました。ところが今回サリバンとある交渉をしたことによって、ちゃんとつけるようになったのです。そして重要なのは、その交渉の内容にあります。これまで彼女は自分流のやり方でのみ、欲しいものを手に入れてきました。それは一番はじめの3月6日の手紙を読んでも明らかです。

 その日、サリバンは彼女に人形(doll)と綴らせた後に、人形を与えようとしました。ところが指文字どころかサリバンのしようとしている事すらも分からないヘレンは、人形を取り上げられてしまうと思って急に怒りだしてしまいました。これは彼女の交渉の手段が非常に限られており、彼女の望む回答以外の行動だった為にそうなってしまったのです。

 しかし今回はどうでしょうか。ヘレンはナプキンをつけることを拒んだ後に、指文字の授業をしていました。その最中、彼女は何かを閃き、ナプキンをつけてケーキを催促しはじめます。ケーキをくれればいい子になると言っているのです。これは大きな変化と見てよいでしょう。何故なら、これまで自分のルールでしか交渉してこなかった彼女が、何か言う事をきけば自分の好きなものをくれるという、サリバンのルールを自ら採用したのですから。
 こうしてヘレンはサリバンに服従したことによって、以前よりもはるかに、簡単に、自分の好きなものを手に入れる事が出来るようになっていったのです。

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