2012年10月14日日曜日

イオーヌィチーアントン・チェーホフ(未完成)

完成版は近日中に公開します。


 近頃S市の近くに引っ越してきたばかりの医師、ドミートリイ・イオーヌィチはトゥールキン家の主人、イヴァン・ペトローヴィチから彼の家に招かれていました。人々の話によるとトゥールキン家の人々は皆、芸術に関して一技一芸を持っており、S市では最も教養と才能のある家で是非伺わなければならないということだったので、イオーヌィチはその招待を受けることにします。そして彼はトゥールキン家の人々と交際していく中で、ピアノが堪能な娘のエカテリーナ・イヴァーノヴナに惹かれていくのでした。ですが音楽学校に進学しピアノで名声や成功、自由を掴むつもりでいた彼女自身は、彼と結婚すればそれが叶わないだろうと考え拒みます。
 やがて彼の恋が破れて4年がたった頃、イオーヌィチはいよいよS市の人々に嫌気が差してきます。というのも、Sの人々は彼に比べて無学、無教養な人々ばかりでカルタとお酒遊びに没頭ばかりだったのです。ですから教養人の彼としてはS市の人々と馬が合わず、カルタ遊びとお金の収集を唯一の楽しみにしていました。
 そんなある時、イオーヌィチはトゥールキン家からの招待状を受け受け取ることになります。そこには嘗ての最愛の人、エカテリーナの字もありました。実は彼女はその後音楽学校に入ったものの、夢破れて今は自身の家に帰ってきていたのです。彼は4年間の間に、トゥールキン家をたった2度しか訪れていなかったので迷ったものの、招待を受けることを決意していきました。果たして今度は彼の恋は成就するのでしょうか。

 この作品では、〈俗人を嫌うあまり、かえってその俗人以上の俗人になってしまった、ある男〉が描かれています。

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