2011年10月30日日曜日

あしー新美南吉

 ある二匹の馬が、窓の傍で昼寝をしていました。すると、涼しい風が吹いてきたため、一匹がくしゃみをして目を覚ましました。しかし、馬が立ち上がろうとすると、足が一本しびれて上手く立てません。ですが、これを勘違いした馬は「たいへんだ、あとあしをいっぽん、だれかにぬすまれてしまった。」と、勘違いしてしまいます。そして、この後、勘違いをしているこの馬は果たしてどうのような行動に出るのでしょうか。
さて、この作品の特徴は、〈子供の真っ白な感性ではじめての体験を瑞々しく描いている〉というところにあります。
まず、私たち大人にとって、「しびれる」という感覚はごく当たり前の身近なものです。ですが、何もしらない、経験すらしたことのない子供にとって、それは未知の感覚であり、不思議な出来事として受け取ることでしょう。この作品は、まさにそういった子供達の視点で描かれています。ですから、作中の馬はこの未知の体験にぶち当たり、自分なりに予測を立て、あれこれと実験をしているのです。そして、この初々しい馬の姿を大人の私たちが見た時、当たり前だった感覚が当たり前ではなくなり、馬(子供)のこの予測のつかない行動に目を見張り楽しむことができるのです。

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