この作品ではそのタイトルが示す通り、様々な愚かな男たちが登場します。より甘い甘蔗をつくろうとしてその苗に砂糖汁をかけた男、より丈夫な壁をつくろうとして籾殻を入れすぎてしまった男、30日分の牛乳を一度に絞りとろうとした男……。
さて、これらの男たちの失敗は、一見違うもののように思えますが、実はある共通点が存在します。それは〈一部の真理を過度に押し広げ、誤謬へと変えてしまった〉というところにあります。例えば、1÷2=0,5という公式そのものは真理ですが、これを人間を数える時に適応していまうと、どうなるでしょうか。当然、人間一人を半分に割ることなどできませんから、これは誤謬ということになります。このように、それそのものは真理であっても、それを適応するところ、または状況によっては誤謬へと転化してしまいます。
そして、この作品に登場する男たちの失敗もこういったところにあり、甘蔗が甘いというのは真理ではありますが、そこに更に甘いものをかけたところでそのものが甘くなるはずがありません。また壁の材料の中に籾殻をいれると丈夫になるというのは真理ですが、入れすぎると今度は素材自体がくっつかなくなり、かえって脆くなってしまったのです。
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