前回の手記でサリバンはヘレン・ケラーを「知的ではあるが、人間的な感情の機微については他の子ども達に比べて乏しい少女である」と規定し、今回のそれでは上記の理論に基づいた実践面について書かれています。
結論から述べると、サリバンの試みは成功とはとても言えないものでした。彼女はこれまで甘やかされて育てられたヘレンを、普通の子どもと同じく、自分の食事に手を入れようとすれば叱り、またナプキンをたたませることを教育しようとしたのです。ですが、ヘレンはそうした彼女の試みに対して、強い拒否の反応を示しました。かと言って、それが完全な失敗とも言い難いものがあります。拒否をしたのものの、結果としてはヘレンは彼女の食事を食べることは出来ず、彼女の強制力によってナプキンをたたまざるを得なかったのですから。
こうして今回の実践では大きな課題を残す事になったのですが、ここでサリバンは末尾に何か秘策があるとも感じられる、ある奇妙な一文を記してあります。
「あとは人間にできないことをうまくやってくれる何かの力にお委せするだけです。」
一体、「人間にできないことをうまくやってくれる何かの力」とは何なのでしょうか。実はこの言葉については、次の日記に明確に記されていありますので、その説明も次回とさせて頂きます。
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