2011年3月9日水曜日

地球図ー太宰治

ヨワン・バッティスタ・シロオテは、ロオマンの人であって、もともと名門の出であり幼いときからして天主の法をうけ、三十六歳のとき本師キレイメンス十二世からヤアパンニアに伝道するよう言いつけられました。ですがその道中、ひょんなことから屋久島の村人に接触したために、ヤアンパニアの土を踏む前に役人に捕らえられてしまいます。さてこの時、捕らえられた彼の胸の内には一体何があったのでしょうか。
この作品では、〈どんな苦難にあいながらも、ただ法を弘めることだけを考えていた、ある伝道師〉が描かれています。
そもそも彼の心には「新井白石は、シロオテとの会見を心待ちにしていた。」、「このよき日にわが法をかたがたに説くとは、なんという仕合せなことであろう、」という箇所からもわかるように、常に法を弘めることがありました。しかし、そうした志を持っていたにも拘らず、役人に捕まり訊問にかけらられてしまいます。また、新井白石との訊問で法を弘める機会を得るもそれは失敗に終わってしまいます。ですが、それでも彼は諦めず、牢獄の中で布教活動に専念し、長助はる夫婦に法を授けます。これが彼の生涯のうちで最初で最後の布教になってしまいます。こうして作品の中の彼の表面的なところだけを見れば、確かにかにシロオテは日本に法を弘めるという崇高な目的のためやってきたにも拘らず、苦難にあうだけあい、不幸にも牢の中で志半ばで死んでしまったただ不幸な人物にうつることでしょう。
ですが、もう一度物語の冒頭に戻ってみると、彼の墓標に榎が植えられている事から察するに彼の生涯は無駄ではなかったと言えます。何故なら、その榎は彼の志がそのままこの地に根ざし、生きていることを意味しているからなのです。それは現在でも、日本にキリストの教えが残っていることからも理解出来るはずです。

4 件のコメント:

  1. コメント者に
    リッチテキストにしてコピー&ペーストしているにも拘らず、マスが空かないのですが、どうしたらいいのでしょうか?私の操作が何か間違っているのでしょうか?

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  2. 「投稿を公開」するまえに、「今すぐ保存」を選んでしまうと、
    フォーマットが崩れてしまいます。
    リッチテキストをコピペしたあと、すぐに「投稿を公開」してみてください。

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  3. シロオテは、宣教師、伝道師としての勤めを忠実に果たそうとしたことは、彼自身の身には不幸をもたらしたものの、その姿は後に評価されている。そのことが、彼の墓標がわりの榎が、この地に根を張ったことによって暗示されている。そういうことですね。
    伝記ものは、それほど複雑な構造を含んでいませんので、とくに指摘することはなさそうですが、正誤だけは記しておきます。

    【誤】
    ・役人に捕まり訊問にかけらられてしまいます。
    ・確かにかにシロオテは日本に法を弘めるという崇高な目的のためやってきた

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  4. ありがとうございます。早速試させて頂きます。

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