この作品は著者の友人である、桂正作という技手について語られています。彼は秀吉やナポレオン等の非凡の類ではありません。ですが凡人でもありません。著者曰く、「非凡なる凡人」というが最も適評だと述べています。また著者は彼のその特性を尊敬している様子。一体著者は桂のどのような特性をそう評し、感心しているのでしょうか。
この作品では、〈成功するとはどういうことか〉ということが描かれています。
まず桂の才能というのは、著者も述べているように平凡なもので、特に目立った特性もなく私達と何ら変わらない人物です。ですが、桂は凡人であるが故に自身の才を生かすこととなるのです。彼の生き方というのはまさに一歩一歩階段を上るようなものでした。地道にお金を貯めて上京、そして上京すると今度は数年かけて、帰郷するためお金を貯め、帰郷したかと思えば、今度は自分を追うようにして東京にやってきた弟達の面倒をも見ています。この忍耐の必要な人生を一体何人が真似て出来るでしょうか。人生において、確かに才能や周りの環境によって自分の思い通りの人生を歩む者もいます。しかし、一方で才能等はなくても一歩一歩直実にステップを踏むことによっても、自分の人生を成功させ、思い通りに生きることができるのです。
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